旅散人のブログ

旅と写真好きのシニアのプログです。お金の話も得意です。

<生活>これで良いのか?「年金生活者支援給付金」と住民税非課税世帯の現実

皆様、こんにちは!

今日は、年金生活と年金給付額について書きます。

 ★「年金生活者支援給付金」とは?

 10月に消費税が増額されたら、「年金生活者支援給付金」と言うのが導入されるらしい。厚生省の資料によれば、「年金を含めても所得が低い者の生活を支援するために支給」するものだそうです。簡単に言えば、保険料納付済期間に応じて0~78万円の直線に比例して支給されている老齢基礎年金カーブの78万円のところを84万円までつまみあげて、カーブ全体を引き上げるイメージです。年額78万円満額の人は6万円増え、84万円(月額:7万円)になるとのことです。対象者は970万人が想定されています。同一の世帯全員が市町村民税非課税である必要があります。

 ★市町村民税非課税とは?

 読んで字のごとく、日常の生活費に非常に困っており、国民の義務である住民税が特別に非課税になることです。言い換えれば貧困世帯ということです。

 毎年発行されている「厚生年金保険・国民年金事業の概況(平成30年1月)」では、国民年金受給者は約3500万人となっています。即ち、国民年金受給者のうち、970万人、27.7%、3分の1弱程度は極端な貧困世帯と政府は認めているわけです。この中には、非課税とならない夫と一緒に生活をしている妻は入りません。子に養われている母親も一般的には入らないと思います。

 この資料では、国民年金をもらっている女性の数と構成は分りませんでしたが、このうち多くを単身の女性が占めると思われます。しかも、今は夫の陰に隠れて見えないが夫がなくなれば、非課税世帯になる女性が多くいると容易に考えられます。

★夫はいくら年金をもらっているか?不足をどうしているか?

 ここで、一般的に高齢者はいくら公的年金をもらっているか統計を確認します。前記した「厚生年金保険・国民年金事業の概況」の「厚生年金保険(第1号)男女別年金月額階級別老齢年金受給権数(平成29年度末)」によれば、総数1,590万人の平均値は月額14.5万円です。男性は1,063万人で16.5万円、女性は527万人10.3万円です。

 本来は、給付額の中央値を論じるべきなののですが、分りやすくするため私なりの論理でまとめます。後で非課税の話をするので、ここでは男性に限定してまとめます。

 この表では、月額1万円ずつで区切られていますので、1,063万人を下記の層に分類します。但しこれは全年代層を一律に集計したものです。大体、今の団塊の世代では、一世代前の世代から月額2万円ほど少ないです。今後はさらに低額になると想像します。金額は、厚生年金と国民年金の総額です。

  1. 月額10万円未満 116.2万人 10.9%
  2. 月額18万円未満 502.3万人 47.3%
  3. 月額24万円未満 386.7万人 36.4%
  4. 月額30万円未満  55.1万人 5.2%
  5. 月額30万以上    2.1万人 0.2%

 ちなみに一般的に年金者の生活費は、夫婦で最低24万円、余裕を持つなら36万円と言われています。実に90%以上の方がぎりぎりの24万円以下の収入です。  

 では、所帯としてこれをどうやりくりしているかは、推測ですが、下記となります。

  1. 妻の年金で補う

 政府の言う「夫婦でいくら」の論理で、65歳以上なら妻の年金6.5万円を補えます。

18万の人は24万、24万の人はやっと30万になります。

 2.企業年金確定拠出年金などの個人年金で補う

 一般的に見て1000万円あれば15年年金で6万円は補えます。

 3.貯金や株の配当などの不労所得で補う

 4.いつまでも働いて補う

 大体の人がどれかで補っているわけです。公的年金は現役世代の60%を確保しているというのは、全く嘘と言えます。精々、自分の公的年金以外の収入を加えた分と比較して、ボーナス等を除いた現役世代の給与分のしかも可処分所得の60%を補えてる人が、ごく一部あるということでしょう。

★211万円の壁

 住民税非課税に211万円の壁というのがあります。自治体によって若干異なりますが、住民税が非課税になる年金収入は一般的には現在は211万円以下となることです。

 現在収入が年金収入のみで、211万円なら、公的年金等控除額120万を引き、夫婦2人なら(35万円x2+21万円)を引いた金額がゼロなら、住民税の均等割がなくなり、住民税非課税となります(注:公的年金等控除金は年々下がっています)。なお詳しいことは省略します。 

 即ち、上記統計では17.5万円程度の年金以下で非課税となるわけですが、実に50%以下の人が非課税というわけです。しかしながら、実際は、企業年金個人年金などをもらっている人が多く、実際の非課税の世帯はもっと少なくなっていると思われます。

 非課税との境界にある多くの方が、企業年金個人年金をもらっているため、住民税非課税とはなっていないと思われます。住民税非課税世帯は、介護保険料が安くなるなど多くの特権がありますので、境界上の人、即ち退職金や確定年金等を年金に回した人は損をしていると言えます。これについては追って色々詳しく説明します。

 またこれは、逆に政府が「年金生活者支援給付金」で想定している970万人をはるかに超える世帯が、本来は非課税世帯であるが、個人年金をもらっているため、そうはなっていないと思われます。なんか変です。

★まとめ

 年金生活者支援給付金の概要を紹介しました。これは、住民税非課税世帯は該当しません。政府は、この非課税世帯を970万人と見積もっています。実に驚くことに27.7%が該当します。一方話は変わりますが、公的年金で不足する部分は、個人的な企業年金等で補われていると思われます。しかし公的年金のみでは、厚生金が比較的ある男性ででさえ、50%以上が非課税該当となり、政府が貧困世帯と認定しています。現在でも、公的年金の実態はこのような状況です。この先、若い人を含め、どのように防衛していけばいいのでしょうか?