旅散人のブログ

旅と写真好きのシニアのプログです。お金の話も得意です。

<生活>「自助に期待するなら年金の徴収をやめて」と言うのは大きな誤解、年金の事をよく知って冷静に考えましょう!

皆様、こんにちは!

今日は年金についての続編です。

 何となくインターネットを見ていると、朝日新聞かなんかの「あおり?」記事を見て、「自助に期待するなら年金の徴収をやめて」などと、年金制度を否定する話題で炎上?しているらしいです。私は、直接これらの記事を見ていませんが、なんか誤解があるような気がします。今も昔も、老後生活の基本は自助です。年金制度は、完全ではありませんが、それでも長生きし過ぎたリスクを補うための老後資金の大きな助けとなります。それだけではなく、障害年金や遺族年金などは、格安の保険という性質を持っており欠かせない制度と考えます。

 先般下記の記事を書きましたが、これは、今の年金給付の真の実態をよく知った上で、まとめで述べたようにこれらの課題について、「この先、若い人を含めて、どのように防衛していけばよいでしょうか?」という問題提起が目的です。決して年金制度を否定するものではありません。

<生活>これで良いのか?「年金生活者支援給付金」と住民税非課税世帯の現実 - 旅散人のブログ

金融庁の報告書案の資料の見方

 この話題の発端となったと思われる資料が、金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループの「高齢社会における資産形成・管理」報告書(案):令和元年5月22日付らしいですが、これは高齢化社会に備えて金融業界として、「金融のあるべき姿を考える」のを目的としたものです。高齢化を盾に金融業界があれこれ儲ける事を考えていると悪口を言う人がいますが、我々は、色々のサービスをうまく選択して活用すればよいだけで、審議会の動きを見ておくだけで十分と思います。実際に目を通してみるとこの資料では、年金給付は全体平均値を議論の背景として述べているだけで、概念論でしかありません。2次的3次的に加工された資料で安易に判断すると感違いします。

 年金給付の実態については、政府が発表している「厚生年金保険・国民年金事業の概要」などの統計データを信じるしかないです。統計データは扱い方で大きくことなるので、本当は、生のデータがほしいのですが、なるべく深読みするしかないですね。

★年金の歴史と年金の限界

 前回の記事で述べたように、多くの人が年金だけでは生活できません。これは、今に始まったことではなく、今の年金制度が始まった時からも、今後も同じです。年金は老後生活を保障するものではなく、あくまで長生きし過ぎたときの支援です。基本は、今も、昔も、将来も自助です。

 これまでの歴史を踏まえ、国民皆年金体制の基本ができたのは1961年(昭和36年)で、今の2階建ての基礎年金制度が整えられたのが1985年(昭和61年)です。現在65歳の人が30歳ごろのことです。それからも色々辻褄を合わせるため、これまで多くの改正がなされてきました。詳しくは述べませんが、その時の社会的背景を理解しながら、年金の歴史を知っておくことも大切と考えます。

団塊の世代から見た年金生活と限界~親世代

 団塊の世代から見た年金の限界と対処方法を考える前に、親の世代、即ち大正から昭和極初期の世代はどうであったかをふり返ります。

 私の両親は、自営業でしたが晩年に商売に失敗し全財産を失い借金がありました。父は戦争に行ってたので恩給があったようです。母は国民年金制度の経過処置でわずかな旧国民年金のみをもらえました。夫婦で借家暮らしの時は子供の仕送りを含めて何とか生活できていた様です。母一人になると最終的には軽費老人ホームに入れ、仕送りを足すことで生活できました。叔父はサラリーマンでしたが、定年後、脳溢血で倒れ、自宅で寝たっきりの介護生活を送ってましたが、今でいう障害厚生年金がありました。叔母は息子と同居で、今でいう遺族厚生年金がありました。このように、この世代の多くの方々は、貧乏しながらも、自助分であるわずかな資産と子供の世話を含めて、年金でやってきました。不足する分は福祉事業で補ってもらっています。しかし、今でいう生活保護まで受ける方は、特殊な例を除き殆どなかったと思います。何とかなりました。

団塊の世代年金生活~典型的な専業主婦時代

 我々の世代は、典型的なサラリーマンは妻が専業主婦(子育て)の時代です。自営業の方は夫婦共働きで、妻は仕事の合間に子育てです。従って、何でもモデル標準所帯(夫婦と子供2人)で考えられました。サラリーマンの自助分は基本は定年退職金です。妻は年金がありません。自営業は、定年がないということで国民年金以外は自助です。この考えで年金が設計されました。途中で、妻も国民年金に加入することになりました。自営業のために国民年金基金ほか、自助分を蓄える制度も追加されました。

 このような結果、前回述べたように元サラリーマンの夫は、夫婦なら最低限の生活は出来る年金(住民税非課税レベル)がもらえます。更に自助分である退職金(企業年金)等もありますので、何とか趣味をこなせるだけの余裕のある生活を送っているようです。自営業の方は、実態はよく知りませんが、周りを見ると同じような感じです。

 問題は、大病と重度の介護状況になった時ですが、この対処は難しいです。

 もう一つの問題は、サラリーマン妻のことです。単身になった時の女性です。満額をもらえる人は年金の歴史からもほとんどいないです。遺族厚生年金も夫の3/4です。夫分の企業年金はなくなります。元サラリーマンの夫の課題は、如何に配偶者にお金を残すかです。我々団塊の世代の夫たちは、自分の責任で、妻に住み家を残し、不足する生活費を蓄えておくかということが、老後設計の全てといっても過言ではありません。65になっても70を超えれも遅くはないです。頑張りましょう。元自営業の方も基本は一緒です。特に自営業の方の妻は遺族厚生年金もありません。

 後は、健康に留意し、寝たっきりや認知症にならなない生活をおくることです。もしそうなれば、なるべく早く死んで妻にお金を少しでも残すことですね。

団塊の世代から考える子供世代

 我々の時代から考えると、生活環境も非常に良くなりました。子育ての福祉もまだ不足しているかもしれませんが、随分充実しています。夫婦共稼ぎもごく普通になっています。老後生活のことだけを言うと、自分の分だけを考えて、自助分を蓄えばよいわけです。老後のライフプランも考えやすいと思います。まあ病気や介護のリスクは将来も同じですが。

 自助分は、若いことから、時間をかけて、少しずつ準備していけばよいと思います。時間があります。あまり、お金のことはあまり不安がらずに、各ポイントでライフプランに是正をかけながら考えていけば十分かと思います。決して悲観することはないです。

 我々の世代に比べ、一つ世代前は厚生年金給付月額は2万円多いです。これから年金をもらう世代は、更に2万円下がるかもしれません。しかし、年金制度が崩壊するわけではありません。その分自助分を増やすだけです。しかし我々の世代より、長く働けます。2万円下がるなら、5年多く働いて500万円多く貯めると考えれば気楽になります。

 まあ、色々考えてみては如何でしょうか?

★まとめ

 歴史的に見ても、老後生活の基本は自助であり、年金はあくまで補助であることを述べました。それでも効果は大きいことを実態例で明らかにしました。実際の団塊の世代は年金に対して何を考えているかも述べました。元サラリーマンの団塊の世代の方々は、国の施策を嘆くのではなく、自分の責任で、老妻の生活を保障する必要と義務があるということを賛同いただけたでしょうか?若い方の参考にもなれば幸いです。

 今日はここまでです。