旅散人のブログ

旅と写真好きのシニアのプログです。お金の話も得意です。

<生活>高齢社会を前向きに捉える学問、ジェロントロジーって面白そう

皆様、こんにちは!

今日は、全く趣が異なる話題を紹介します。

 「ジェロントロジー」です。舌が回らないし、初めて聞く言葉です。当然私はよく知りませんし、解説はできません。無責任ですが受け売りです。従い、内容について責任は取れませんので悪しからず。

 情報源は、一般の人にはなじみのない「金融財政事情研究会のKINZAI Financial Plan No.409」の前田展弘さんと言う方の記事です。それを読んだ感想文と捉えてください。

★ジェロントロジーとは?

 加齢に伴う心身の変化を研究し、高齢社会における個人と社会の様々な課題の解決を目的とした学問らしいです。ギリシャ語の高齢者Gerontと学のologyの造語で「老年学」「加齢学」というそうです。1903年にフランスで始まり、アメリカで発展、日本では1960年代から活動が行われてきたらしいですが、知りませんでした。

 人生100年時代と言われるようになってようやく関心が高まってきています。例の金融庁の調査会関係の資料にも「金融ジェロントロジー」というキーワードは出てきます。

 東大や慶応大など、まあ学問としては真面目にやられているようです。インターネットで調べてみるといろんな協会や団体もあるようです。中にはちょっと金儲け的なものもあり、気を付けないといけないかもしれません。

 いずれにせよ、我々も老年学の基礎とこれからの社会を豊かに生きる知識を学べるという点では私は気に入ってます。特に人間の変化を心理・教育・医学・経済・労働・栄養・工学など実に多方面の分野から学際的に研究する学問という点では、非常に面白いし、今後も良好に発展していくことを望みます。

 前田さんの記事でいくつか興味深い話がありましたので、掻い摘んで紹介します。

★高齢者の生活自立度の変化パターン

 年を取ると健康状態がどのように変化していくかの研究成果紹介です。日本人高齢者(n=5715:サンプル数)を1989年から30年間追跡調査し統計的分析した結果です。私なりに結論を要約すると、下記の通りです。

  1. 男性では、19%が70歳前に健康を損ねて死亡するか、重度の介護が必要で、原因の多くは生活習慣病
  2. 10.9%の人は、80歳、90歳以上も元気なまま自立度を維持
  3. 70.1%の人は、75歳頃から徐々に自立度を下げていく。女性はこのパターンが87.9%
  4. 女性の場合も同様の傾向であるが、上記1のパターンは表出されない。即ち総じて骨や筋力が弱いので移動能力が低下、このパターンが表れないとのこと

 目から鱗の、今までと違うイメージです。要するに「実に8割の人が、要介護や認知症というイメージとは異なり、何らかの病気や身体の不具合を抱えながらも、多少の助けや自らの生活上の努力や工夫があれば、普通に日常生活を続けることができる」と言うことです。

 急にガクッと、重度の介護になったり、ひどい認知症になるわけではないということです。勿論、病気や骨折で寝たりきりで、そのまま重症や死に至るリスクはありますが、確率は非常に低いという事です。また、ひんしゅくをかって申し訳分けありませんが、そうなるのは60過ぎから70前の確率が高いということです。70になれば逃げ切りです。あくまで確率だけの問題ですが、還暦後の60後半の厄年を新たに作り、それを乗り切れば、取りあえず一息ということです。

 厚生省が健康寿命は71歳、80歳の平均寿命まで9年間、「日常生活に制限ある『不健康な期間』を惨めに生きる必要があるように言っていますが、この表現はあらためて欲しいですね。私の友達も、心臓や血管に何かを入れたり、うまくしゃべれなくなったり、早く歩けないのもいますが、彼らは『不健康な期間』ではないと思います。もっと社会環境をよくすれば十分「健康」に生きていけます。今でもですが。

 あたかも蝶々が芋虫から変わる逆で、人間も羽がなくなり自由には飛べないが、地面の上でも楽しく生活ができる「第2の全く違う人生」が歩める、2回も人生を送れるという発想で考えれば、随分違います。老後も楽しくなってきます。年金や介護問題でおろおろするのはやめましょう。そのため、もっとこのジェロントロジーと言う学問とその社会的応用が発展すればと考えます。

 なお、データの出典は、(東京大学高齢社会総合研究機関編「東大がつくった高齢社会の教科書」東京大学出版会、2,017年3月)とのことです。

 ★高齢者の若返りの実態

 もう一つは、高齢者の若返りということです。これは「通常歩行速度」を1992年と2002年で比較した「日本人高齢者における身体機能の縦断的・横断的変化に関する研究」の成果です。

 結論だけを言うと、2002年の高齢者は1992年の高齢者よりも、約10歳程度若返っているとのことです。データによると今の75歳は昔の65歳と同じ通常歩行速度、今の80歳の人は昔の70歳と同じ通常歩行速度ということです。サンプル数等詳しいことは不明ですが、きちっと統計学的処理してあるデータなら信頼できると思います。医学的によく知りませんが、別途研究で通常歩行速度を測ると身体能力に置き換えられるのでしょう。

 またスポーツ庁の新体力テスト項目でも上昇しているのがわかります。もっとも詳しい解析はこの情報だけでなく生データを見ないとわかりませんが。

 これらは、もっともっと深く研究・解析していって欲しいですね。昔60歳まで働いていたのが、今は70歳まで働くのと身体的には同じというのですから、画期的です。多分知力の方も一緒なのでは?

 この分野でも、医学的なジェロントロジーが発展していって欲しいものです。働き方や生活スタイルも根本的に異なる発想が生まれそうです。

  これの出典は、(鈴木隆雄他「日本人高齢者による人体機能の縦断的・横断的変化に関する研究」(第53巻第4号「厚生の指標」2006年4月))とのことです。

★まとめ

 今日は、ジェロントロジーという聞きなれない学問の話を、感想文という形で書きました。面白い学問であり、興味深いデータもありました。

 現在日本では、特に「金融ジェロントロジー」と言う分野が注目され、金融界が色々提言しています。今回の騒ぎもその一端で、言葉足らずだったように個人的には思います。

 本来「学際的」な学問であり、高齢というネガティブをポジティブに変える学問だと思います。応用範囲も多いです。

 本学問をさらに発展させ、金儲けに走らないようにして、社会に有効に使っていただけたら、今の若者、即ち次世代の高齢者のためにも貢献できるのではないでしょうか?

 決断力と実行力もなく何もできない与党も、文句と反対ばかりで何の提案もできない野党も、国家百年の計を考えた政治と施策に活用して頂ければと考えます。

 今日はここまでです。