旅散人のブログ

旅と写真好きのシニアのプログです。お金の話も得意です。

<生活>7月1日から亡くなった人の口座から葬儀費や生活費がおろせるようになるらしい

皆様、こんにちは!

 今日は、死んだ時に、自分の口座が凍結される話です。そんな「あほな!」と思いますが、実際におこります。

 これはそもそも、相続などで揉めたとき、銀行がトラブルに巻き込まれないための自己保全のためだと私は思いますが、まあやむを得ない面もあるのは理解できます。

 しかし、凍結が解除されるまで、遺産分割協議の確定など時間と手間がかかり、葬儀費用や妻の当面の生活費など、狼狽えてしまいます。

 私も、両親がなくなった時には、姉と手分けして兎も角あるだけ現金を下ろして駆けつけたのを覚えています。これは親がいくら持っているか不明だったためですが、2016年に最高裁により、払い戻しができないようになってしまいました。

 この解決手段として、昨年相続法(民法の相続関係の条文)が改正され、7月1日からは、庶民が持ち望んでいた「預金仮払い制度(預貯金債権の一部行使)」が施行されるとのことです。まずは、良かった良かったです。

★法の根拠と運用

 インターネットで法律を探すと、民法909条の2にありした。今は、素人でも簡単に探せるので便利ですね。難しいですが、文書を転記しますと、「第九百九条の二 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に第九百条及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす」です。

 具体的な金額等については、法務省令で定めることになっているようです。

その運用概要は、下記の通りです。なお、正確で、詳しい内容については、自分の責任できちっと調べておいて下さい。

  1. 相続人であって、
  2. 預貯金債権に限り、
  3. 預貯金債権額の1/3に当該共同相続人の相続分を乗じた額について、
  4. 法務省令で定める額を限度に(150万円みたいです)
  5. 複数の銀行でも良い見たい

 取り合えず、死んだときは遺族は慌てないように準備できそうです。70歳過ぎたら、金持ちでもないのに無理して、信託銀行の「家族おもいやり信託(一時金型)」なんかぐらいは考える必要があるかと思ってましたが、不要のようです。

★それでも、口座凍結解除のための準備は必要です

 私は、相続税もかからないし、使いきらなかった老後費用と家以外の資産もあまりないので、相続人間で揉めないとは思います。しかし、凍結を解除するには、遺産分割協議が必要なので、

  1. 妻と子供以外に相続人がいないこと(隠し子はいません)の申し渡し
  2. クレカの引落以外は借金がないことの申し渡し
  3. 口座の全リストの作成
  4. その他終活に必要なこと

をおいおいまとめて行く必要があります。

それより、昨日述べた、認知症になった時の対応をもっと研究しておくことを急ぎます。

 ★上記150万円の根拠となった資料

 

 インターネットを調べているうち、面白いものを発見しました。それは、

民法第九百九条の二に規定する法務省令で定める額を定める省令案」に関する概要説明 という資料です。

https://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000178513

 ここには、誰も教えてくれませんが、150万円を上限と決めた根拠として下記のようなことが書かれています。
 「預貯金債権の残高が多い場合には,払戻し可能な金額も大きくなるため,定型的に預貯金の払戻しの必要性が認められる額に限定する観点から,その払戻しが可能な金額については「標準的な当面の必要生計費,平均的な葬式の費用の額その他の事情を
勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする」こととし,一金融機関ごとに法務省令で定める額を上限とすることとしている」
「(補足説明)改正後の民法第909条の2では,法務省令で上限額を定める際の考慮
要素として,「標準的な当面の必要生計費,平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案」するものとされている。標準的な生計費の額については,毎年,国家公務員の給与勧告を行う際に人事院が参考資料として算定を行っており,世帯人員が1名の標準生計
費は1か月当たり12万円弱となっている(別紙参照)。また,平均的な葬式費用の額については,150万円前後とされている(注)」

「(注)例えば,交通事故の損害賠償の基準として多く採用されている「損害賠償額算定基準」(日弁連交通事故相談センター東京支部。いわゆる赤本)によれば,被害者が死亡した交通事故における損害として認められる葬儀費用は原則として150万円とされている。このほか,経済産業省による「特定サービス産業実態調査」(平成29年)によれば葬祭業者における葬儀1件当たりの売上高は約113万円という統計データもある」

らしいです。

 「国家公務員の給与勧告を行う際に人事院が参考資料として算定を行っており,世帯人員が1名の標準生計費は1か月当たり12万円弱となっている(別紙参照)」については、下記表が添付されています。

  別表 表28 費目別、世帯多人数別標準生計費(平成29年4月)

1人世帯 : 116,560 (食費25.350、住居関係費46,690、被服・履物費2,640、雑費Ⅰ33,300、雑費Ⅱ8,390)

2人世帯 :178,940 (細目省略)

  面白いでしょう。一人所帯で11.6万円、二人所帯で17.8万円だそうです。ちょっと遠慮気味かな?金融庁で使われた資料では、老人2人世帯の生活費は26万円ぐらいでした。

 投資を勧める資料は二人で26万円です。夫が死亡して困るときは、18万円でやっていたので一人では12万円で良いという判断です。議論は色々あると思いますが、物事を判断するうえで、都合に良い統計データを使うのも如何かなとも思います。単なる独り言です。

★まとめ

 今日は、もう年になったので、死んだ時に妻が困らないようにと考えるべきことの一例を考察しました。死亡時に自分の貯金が凍結される話です。

 今年7月からは、緩和されるので、慌てて手数料の高い信託などを契約するまではないということを検討しました。

 今後も、「70歳になったら考えるべきこと」のシリーズとして、色々な検討結果を紹介していきたいと思います。

 今日はここまでです。