旅散人のブログ

旅と写真好きのシニアのプログです。お金の話も得意です。

<生活>シニアになったら考える金融投資の極意

皆様、こんにちは!

 今日は久しぶりにお金の話です。例の金融庁の2000万円問題の誤解も、ようやく落ち着きを取戻しつつありますが、世の中はまだまだ誤解があります。特に投資と年金に関して、私から見ると知恵がない(知識ではない)というか、視野が狭いというか、評論家思考と言うか、もはや公害・ごみ記事としか言いようのないものが散見されます。悲しいのは、素人さんならいら知らず、FPなどの肩書を持つお金の専門家の方々の全く説得力のない記事には閉口します。

★正しい認識を持っておかないと将来に渡って致命的になる課題2つ

 特に深刻な問題は、①老齢年金は保険だという原則を理解せず、積立式が良いとの主張、と②投資は危険・博打だという主張です。前者①については、将来の孫の世代に影響することであり、時間をかけて若手が真偽を議論すればよいのでここでは触れません。

 今の問題は②です。子供たちの世代は、既にある程度金融リテラシーを持っており、長い目で、少額で、適切な商品を選んで、投資を開始していると信じます。失敗しても、まだまだ勉強の時間もあります。投資は危険・博打と思うような人は少ないと考えますので、ここではおいておきます。読み飛ばしてください。

 深刻な問題は、50代後半から我々の団塊の世代とその上の世代です。シニアになってからの投資と言うことに関して、正しい認識を持つ必要があると思います。金融リテラシーに加えて、シニアとしての運用の原則を知っておかないと生きていけないかもしれません。こんな方々むけに書いています。

 懸念するのは、インターネットなどで勉強しているとき、誤りや視野の狭い記事を読み、誤解することです。この記事が、ちゃんと考える機会の参考になれば幸いです。

 ★シニアはこんな記事に気を付けよう

 一例を上げてみます。心当たりないでしょうか?

  • タイトルと記事の中身が違う記事。センセーショナルなタイトル程、中身がありません。単なる教科書解説で実践に全く役に立ちません。平均的・常識的なことを並べているのもあります。それでどうなの?まず、こんな類の記事のあおりで焦らないようにしましょう。かえって無駄な勉強です。
  • ピンからキリまである「投資」を「ごちゃまぜ」にして論じている記事。投資と一口に言っても、FXのような先物信用取引などから、情報が入りにくい外貨(特に金利の高い後進国)や外貨ベースのもの、仕組みが非常に複雑で専門家でないとまず理解できないもの、一般的な海外株、国内株もあります。投資信託といっても種類によってピンからキリまであります。ここでいうピンからキリはリスクの大きさです。金融投資を十把一絡げにして、リスクが非常に大きいもので大損をしたので投資全体が危険と誤解を与えている例もあります。一度に購入して失敗した例もあります。それで失敗するのは当たり前で、やること事態がそもそも馬鹿としか言いようがないです。それで投資が危険・博打と言う根拠には全くなりません。投資姿勢で何が問題だったかの解説もなく、煽っているだけです。
  • 視野のあまりにも狭い記事もあります。例えば、iDeCoは損をしている人が多いとの評価です。しかし単に時価のプラスマイナスを論じるだけでなく、減税効果も考慮しないと正確な判断はできません。株式投資も、配当金を考慮してプラスマイナスを考える必要があります。税金や手数料など経費の考慮は当然です。

★シニアの投資の基本姿勢

 いよいよ本論です。

 シニアの投資の目的はひとつ、「資産寿命を延ばすこと」です。決して、決して資産を増やすことではありません。投資で儲けることでもありません。自分の寿命が延びていく分、資産の寿命も伸ばすこと、これを肝に銘じておけば大丈夫です。しかし、当然ある程度の金融リテラシーは必要です。

 シニアの金融リテラシーは、金融の基本理論と、具体的商品としての投資信託、中でもインデックス型と、バランス型の意味、更に株と債券の違いを知っておけば最低限問題ないです。それに為替の仕組みもです。まずは、知らないものには手を付けない。商品の幅を広げ過ぎない。そのうち慣れてきます。

 シニアといえども昔と違い、余命が30年以上もあります。十分長期投資が出来ます。慌てないことです。一度に投資することが最もリスクが高いことを肝に銘じておくのが肝要です。これを時間分散と言いますが、そのほか色々な種類の分散という言葉がよく出てきます。分散の意義を十分勉強しましょう。

 前に述べましたが、シニアの投資として資産寿命を延ばすには、その評価指標としてライフプラニングが欠かせません。キャッシュフロー表が書けないといけません。要は、生命寿命が延びた分、資産寿命を延ばすのですから。資産寿命が構想通り延びるなら、それ以上は無理をしないことです。欲は禁物です。

 

<生活>父の日に考える、老後のライフデザイン~始めに - 旅散人のブログ

★シニアの金融投資設計の事例

 ここからは、定年時の金融投資の設計の事例を示します。その考え方を参考にして頂ければと思います。前提条件があまりに異なる人々は、今回は読み飛ばしてください。

(前提条件)

  • 老後資金として1500万円の準備がある。毎年の生活資金は年金に頼るが、月5万円、年間で60万円赤字となる。金利ゼロの預貯金で運用すると、キャシュフロー表では25年後に資産が枯渇してしまう。

(試算1)

  • 年間60万円x25年=1500万円で 25年後に資産が枯渇

(試算2)

  • 1500万円を900万円と600万円に分ける。
  • 900万円貯金、年間60万円X15年=900万円を15年で取り崩す
  • 残り600万円を年3%で15年運用する。600x1.5580=934.8万円
  • この934.8万円を15年後に貯金に回し、年間60万円で取り崩していくと

   934.8÷60万円=15.58年 後に枯渇する。即ち合計で30.58年となり、

   25年→30.58年に資産寿命が延長されることになります。

(注)実際には、600万円の運用開始は、例えば60歳時点に全て一括に投資しないで、55歳頃から徐々に狙いを定めて実施すること。

(注)増えた934万円は貯金に回さず、そのまま投資信託を続けて、取り崩していくサービスもあります(例えばSBI証券

★本手法の応用

 上記は一例です。個々の事情に応じて、自分で考えることが大切です。

  • 900万円と600万円の振り分けを変更してみて下さい。無理をして投資金額を増やさないようにすることです。
  • 期待年利を変えてみて下さい。3%はちょっと厳しいかもしれませんので、例えば1%、2%、など。終価係数表を使えば簡単に計算できます。上の例で、2%で15年なら1.3549、1%なら1.1610倍です。
  • この辺は思案の為所です。あんまり年利を欲張らないことです。資産を分散するバランス型のインデックス株式投資信託ならまあ期待利率2%が適切と思われます。大型高配当の日本株なら配当だけで5%程度のものもあります。自分で組み合わせを考え、分散しても良いでしょう。

★この手法のリスク確認

 600万円の投資は原本保証ができません。過去の例では±30%の変動は普通と思ってください。即ち400万円~800万円ぐらい動くのは当たり前です。特に今後はAIとコンピュータ取引が益々発展するので、あっという間に急変します。そうなってもあわてないことです。そのうち戻ると大らかに考えて下さい。考えられない方は、この手法はやめましょう。過去の例でいうと、あの半額以下になったリーマンショックでも、10年も待たずに株価は完全に復活しています。

 心配な方は、900万円、600万円、以外に200万円を引当金として準備しましょう。200万円は、大病や介護時にも活用できます。

 これらのバランスをどう考えて設計するかは、持ち金の多さによって違います。金融リテラシーや加入保険などによっても違います。当然その時の健康状況や世の時勢によっても違います。腕の見せ所です。

 肝心なのは、少なくとも毎年キャッシュフロー表を見直し、適正に是正していくことです。場合によっては、生活レベルを下げる事や海外旅行を控えるなどの防衛も必要かもしれません。しかしライフプラニングがしっかりしていれば、いつか手直しが効きます。

★まとめ

 年金で賄えない老後資金は、生命の寿命延長に合わせて、金融資産寿命を延ばすことで対応できます。ある程度の金融資産を持ち、ある程度の金融リテラシーを持ってれば誰でも可能です(ない人はもっと若いころから違う投資スタイルが必要です)。

 シニアの投資目的は「資産の寿命を延ばす」ことであって、増やすことや、儲けることではありません。商品は仕組みが簡単なもので、分らないものには手を出さない。分散投資の本質をよく知ることも重要です。

 資産が、±30%程度は動くことが常と考え、心配ならリスクヘッジをしておくことです。常にキャッシュフロー表での評価判定を怠らないことです。キャッシュフロー表があれば何歳からでも応用できます。

 金融投資をよく知り、対策を行うことで、十分管理が可能です。決して投資は、危険なものでも博打でもありません。

 最後に、ここに記載した言葉が分らないうちは、やめておくのが無難です。投資はあくまで自己責任です。

 今日はここまでです。