旅散人のブログ

旅と写真好きのシニアのプログです。お金の話も得意です。

<生活>年金が極めて少ない高齢者を救うため、考えなければならないこと

皆様、こんにちは!

 今日は、下記記事の続きです。折角、厚生省から国民生活基礎調査の報告書が発行されたので、このデータから年金について考えてみましょうと言う雑感です。

★はじめに

 この前、金融庁の2000万円問題があり、国民全体が年金について少しは考えるようになりました。もうすぐ参議院の選挙もあります。年金の仕組全体に係る根本的課題については、長い国民的議論が必要と思われます。しかしながら、手直し程度なら応急処置ができると思います。現状の切羽詰まった問題で、現役世代にも必ず将来やってくるだろう、「年金が極めて少ない高齢者をどのようにすれば少しでも救うことができるだろうか」について考察します。

 その前に、下記記事を参考していただければ幸いです。

<生活>教えてください、厚生省の国民生活基礎調査の資料おかしくないですか? - 旅散人のブログ

  またできれば、下記資料を一読頂くと、本記事の趣旨が一層ご理解いただけると思います。

平成30年 国民生活基礎調査の概況|厚生労働省

国民生活基礎調査資料の第6表と第2表に注目 

 この資料にきちっと目を通せば、もう少しマスコミが取り上げるだろうと思っていましたが、全世帯の平均所得金額が551万円程であることと、高齢者世帯の51.1%が年金のみの所得であること、しか取り上げられていないといっても過言ではないでしょう。

 これらは、「あっそう」と思うだけで、何の役にも立ちません。具体的な提案にも結び付きません。あれほど2000万円問題では、マスコミが騒いだのにです。

 私が注目するのは、まず第6表です。「各種世帯別にみた所得金額階層別世帯数の分布及び中央値」です。高齢者世帯の所得を50万円刻みで分布させた表です。

 高齢者世帯の定義は、65歳以上のみで構成する世帯と、それに18歳未満の未婚者が加わった所帯です。高齢者が未成年を養っている例は少ないと思われますので、老夫婦世帯か単身者世帯です。夫婦と単身者が混じっていることと65歳以上でも働いている世帯が混じっているので、解釈が難しい点があります。これは、もっと厚生省が本気で考えて、統計の集計の方法を考えるようにすればいいのですが。そんなことを言う政治家がいないのか、興味がないのか、げんなりするところです。

  6 表では、50万円未満から50万毎に刻み、1000万円以上の16段階に分けています。この中央値は260万円です。高齢者世帯は、年金以外の勤務の給与、企業年金、配当等を加えても、中央値が260万円です。260万円もあれば、夫婦で何とかやっていける所得ですが、もっともっと低い所帯があるのです。

 調査では、第2表に違う切り口からも集計しています。それは「所得5分位階級」と言う考え方です。簡単に言うと分布を5等分して、各5階層の中に各々何%いるかの分析です。これによると、下記です。

  • 第Ⅰ5分位:36.5%  (境界値200万円)即ち未満の人、以下同じ
  • 第Ⅱ5分位:31.6%  (境界値342万円)
  • 第Ⅲ5分位:19.5%  (境界値523万円)
  • 第Ⅳ5分位:8.1%   (境界値613万円)
  • 第Ⅴ5分位:4.2%  

 色々生活条件等があるので一概には言えませんが、ざっと庶民感覚のイメージでは、最低限の生活かそれもできない所帯が36.5%、まあ何とか行ける世帯が31.6%、少し余裕がある世帯が19.5%、老後を十分楽しめるが8.1%、庶民なんか関心ない成功者層が4.2%です。これは、年金収入だけでなく、自助での収入も含めてです。

 麻生さんに一回これを見て欲しいです。見ても感じないかもしれないけど。

★他にもある調査資料

 すでに下記で紹介しているように、年金収入だけに注目したデータもあります。

それは、「厚生年金保険・国民年金事業の概要」という厚生省の報告書です。 

<生活>これで良いのか?「年金生活者支援給付金」と住民税非課税世帯の現実 - 旅散人のブログ

 ここでは、夫の厚生年金と国民年金の合計を示します。詳しくは報告書を確認ください。(妻の年金は含みません、団塊世代の専業主婦なら世帯収入は70万プラスぐらいになります)

  • 年額216万円以下 58.2%
  • 年額228万円以下 36.4%
  • 年額360万円以下 5.2%
  • それ以上    0.2%  

 すなわち、上述の上位の階層にいた方も、働かなくなって年金だけになると 第Ⅱ、第Ⅲ階層に落ちるということです。麻生さんの様な方や、中小企業の取締役などは、配当金がたっぷり入ってくるので、第Ⅳや第Ⅴ階層にいることができるでしょう。

 私もまだ働いており、しばらく財形等他の収入も若干あり、妻も基礎年金をもらっているので、何とか第Ⅲを維持できますが、仕事をやめればすぐ第Ⅱに落ちます。それが多くの庶民ではないでしょうか?

 しかし、第Ⅰ階層にある人もいるのです。この人たちはどうすればよいのか?若い将来の世代も該当するような人も出てくるでしょう。

6表では、50万未満が1.5%、50-100万が10.8%、100-150万が11.2%です。

★提言その1

 70歳を超えた素人の老人が言うことではないのです。政治家ならもっと詳しい分析データを厚生省に請求できます。専門家も使えます。マスコミもやる気さえあれば、考えなければならないことを庶民にわかりやすく提示できます。上辺で抽象的に言うだけでは前に進みません。

 この方々が、具体的な選択肢をいくつか示して、国民的議論をすべきです。

 私の提案は、上述した「第Ⅳ階層」「第Ⅴ階層」の年金支給を停止して、それを第Ⅰ階層に分配するのです。個々の事情があるので、条件は絞る必要はあります。上位10%の年金を停止して最低層10%に配るのです。年金はもらえなくするのではなく、一時停止です。従って、働かなくなったり、年収が少なくなれば、停止は解除されます。

 老齢年金と言うのは、「保険」です。長生きし過ぎて、働けなくなり、生活に困った時にもらえる保険です。健康保険が病気の時にもらうのと同じです。幸運にも病気にならなければいりません。老齢年金も人生に大成功を収めれば不要です。

 生活保護給付金は、地域や条件によって様々で一概には言えませんが、大阪では、ざっと単身で月額12万円、夫婦で17万円程度と言われています。失礼ですが、生活保護でさえ、年額200万円もらえるのです。上記第Ⅰ階層で、年金をきちっと収め、自助努力をしている所帯なら、それ以上分配されても当然でしょう。財源を探すことです。

★提言その2

 合わせて、在職老齢年金制度を廃止する噂もあります。これには反対です。働く意欲を失うという考えもありますが、もう60歳代を経験し終わった私から言えば、在職老齢年金制度は維持して、高所得者の年金は停止すべきと思います。

 確かに、65歳未満の在職老齢年金制度には、私たち団塊の世代は苦しめられました。まだ十分に働ける時に、28万以上貰うと一部停止されます。従い給与も安く押さえられていました。その上で、年金が殆どない老親に仕送りが必要だったのです。

 この65歳未満の制度はもう終わります。65歳未満で正規に厚生年金をもらう人がなくなるからです。従い、ここは廃止してもいいです。

 問題は、65歳以上の在職老齢年金制度です。キーワードは、47万円です。即ち、厚生年金分の月額と、給与(正しくは総報酬月額相当額)の合計が47万円を超える時、超えた分の1/2が停止されるだけです。

 例として12万円の厚生年金(年額144万円で、これだけ貰っている人は少ないです)をもらって 、50万円の給与(報酬月額相当)とします。

 ((12+50)-47)÷2=7.5  

即ち62万円のところが、54.5万になるだけです。基礎年金はもらえるので、合計月額60万円を貰えます。働いているとは言え、このような高額所得者に年金がいりますか?庶民感覚で考えて下さい。制度を知って大所から考えるべきです。

 この時35万(年間420万円)の給与なら、年金は停止されません。多くの庶民の65歳以上はフルタイムで働きたくないです。30万円分働いたらもう十分過ぎです。

 大会社の幹部などはどうでしょうか?たまに会社へ行って、役員報酬を含め保険料上限の62万円を収めている人です。当然年金も多いので15万とすると、

 (15+62-47)÷2=15で、全額停止です。しかし国民年金はもらえます。それにまだ厚生年金まで必要ですか?月10万円で生活している人へ、年金を配布すべきと思いませんか?それが成功者の意気ごみでしょう。もし万一、色々ある裏道で年金停止も受けてないなら失礼ですが恥じるべきと考えます。

★まとめ

 最近の厚生省の資料から、年金給付の分布を推測しました。そこから、高所得者の年金を停止して、低年金所得者への再配分を提案しました。本提案は、まだまだ精査が必要です。年金総額の再配分の観点から在職老齢年金制度の廃止にも反対します。

 一般の庶民では、考察すべきデータが十分手に入りません。是非、政治家やマスコミが、データをさらに収集、駆使して高齢者の所得平準化を少しでも図るべきではないでしょうか?それが、これまでの年金政策の失敗を補う責任ではないでしょうか?

 これらの応急処置を施しながら、年金制度について国民的議論をさらに深めていくことが大事かと思います。子供や孫の世代の方々が真剣に考えるべきことであり、老婆心ながら、経験をもとにアドバイスをしていきたいと考えます。

 今日はここまでです。